【6月20日更新】
これまでずっと、どうしたら経営を安定させられるか、利益を増やすことができるかということを考えてきました。その解決策は、まず第一に売上げを増やすことです。そこで、これまでの考察をもう一度まとめておきたいと思います。
●顧客のステージを上げる
まず、費用をかけずに売上げを増やすには、何といっても今実際にいらっしゃるお客様を優良顧客にすること。しかし、顧客を優良顧客にしてLTV(生涯価値)を高め、さらに離脱を防ぐためには、適切なコミュニケーションを創り出し、継続していく必要がある。
売上げの70~80%を20~30%の顧客が占めているというのが、有名なパレートの法則。店舗・企業にとって、この20~30%が優良顧客なのである。自宅からのアクセスなどのファクターもあるでしょうが、このお客様たちは、店のつくりとか品揃えとか販売員の態度とか、全体の雰囲気とか、何かを気に入ってくださっている。だから、購入回数や購入金額が多いのである。
しかし、怖い話ですがこの優良顧客は離脱します。また、店員や従業員が一番嫌な客が、この口やかましくてワガママな優良顧客だったりもする。
優良顧客は、この店や企業が好きだから何度も買い物をしている。そして、もっと良い店になって欲しい、もっと店の人たちに分かって欲しいと思っているのかも知れない。ところが、お店や企業がいつまでもそれに応えられず、適切なコミュニケーションがとれないと突然離脱する。本当に突然、無言の内に姿を消してしまうのである。
●キーワードを再考してみよう
あなたの会社・店舗では、これまでに述べてきたことはできているでしょうか?再度確認してみましょう。
○あなたの会社・店舗の特長は何か?
あなたの会社(店舗)は、
・何を売っているのか?(日用品か、特別の日の物か、耐久消費財か、贅沢品か、など)
・誰に売ろうとしているのか?(若者向け、主婦向け、シニア向け、など)
・販売エリアはどこか?(特定地域か=その地域の特色は?、全国か)
・あなたの会社や店舗にコンセプトはあるか?
このように商品構成、顧客ターゲット、企業コンセプトなどを列挙し、あなたの会社(店舗)の存在意義を言葉にしてみましょう。でも、単純に利益を拡大したいなどというものではなく「地域の人たちの豊かな暮らしに関わること」といった社会的に意味を持つものにした方がベター。こうした存在意義があると、困ったとき、迷ったときの行動指針になるのである。
○お客様の登録方法はあるか?
通信販売だと注文や発送伝票から顧客データベースを構築していくことができるが、店舗の場合はそうはいかない。そこで、会員制度やポイントカードによって顧客データを獲得する。
しかし、時々見かけるがポイントカードに住所・氏名などを書く欄がないのでは、何のためにポイントカードを作っているのかわからない。ポイントシステムは顧客データを取らないと単なる値引きだけになってしまうのである。
ポイントを付与した日時の記入欄がないと来店頻度がわからないから、再来店を促す役目しか果たせない。それとは逆に、来店日だけでなく来店時間もわかると、そのお客様の行動パターンを推測できる。すると、そのお客様に合わせた適切なサービスを考え出すことができるようになる。大切なデータを掴むには、事前にしっかり考え抜いた項目作りが必要なのである。
必要事項は、基本的には氏名、住所、生年月日、性別、購入日、購入商品ジャンル、購入金額などである。業種、業態に応じたデータ項目とデータベース構築には、DMGのように経験豊富な企業の知恵を活用していただきたい。
○顧客のことを知る方法はあるか?
ポイントカードの記載項目などを熟考し、最適なリレーションシップを実現し、控えめで温もりのある対応をしているかを考えてみよう。
難しいリレーションシップシナリオの制作は、経験豊富なDMGが得意とする部分。某保険会社のCMのように馴れ馴れしいのが優れたリレーションシップではない。しかし、かといって慇懃無礼なのはもっての外。肝心なのは、バランスの良さである。
そして必要なことは、作成した顧客データベースをしっかり活用し、お客様の好みや動向を把握することである。例えば、大学生だった頃と社会人になってからのニーズや好みは当然変わってくるし、時代の変化もある。購入履歴をよく見ていれば、1年前まではスニーカーやサンダルしか買わなかったD君が、黒や茶の革靴を買うようになったことがわかるはずだ。
18歳とか22歳近辺のお客様は人生の大転換期に当たっている。生活が変われば、購入傾向も変わるし、行動エリアが変わればそれまで頻繁に来てくれていたお客様も来れなくなってしまう。そこで土・日・祝にセールをするような対策を仕掛けるかどうかも考えなくてはならない。
●データをじっくり見直す
売上げは顧客数×頻度×平均買上点数×平均買上商品単価に分解することができる。この数字を点検していくと、今あなたの店舗の抱えている問題や、売上げを増やすにはどうしたらいいのかがわかってくる。
データを分析して出てきた答えに、店舗の特性や営業エリアの特性を考慮しながら、どこが足りないのか?どこを伸ばすべきなのかを考えて実施していけば、売上げは改善されるはずである。
月間の顧客数が満足できる数なのに、売上げが予定よりも低いのなら、頻度か平均買上価格が低いことになる。来店客数が予定通りで一点価格にも変化がないのなら、品揃えに魅力がないことが考えられるからMD(マーチャン・ダイジング)の見直しが必要。さらに、売り場のレイアウトや商品の配置なども再考してアップセル、クロスセルを促進するようなMDをしていくことが重要になる。
また、平均買上点数×平均買上商品単価が思い通りなのに売上げが上がらないのなら、来店顧客数が少ないのだから、イベントやセールなどの企画が必要になってくる。
●特性を突き詰めて考える
スーパーマーケットとセレクトショップでは、ターゲットが違うから、単純に真似してみてもあまり意味はない。また、同業他店で儲かっているところのやり方は参考にできるが、規模や人通りなどの環境が違えば、そっくりそのまま真似しても仕方ないのかもしれない。
まず、自分のお店と商材の特性をしっかり考えてみることが大切だ。日用品なのか贅沢品なのか、どのくらいの頻度で必要になるものなのか、お客様は一度にどれくらいの量を買うのか。そして、あなたのお店の立地はいかがなものか。あまり人通りの多い場所でなければ、自分の方から近くに寄っていけばいい。つまり、ご用聞きなども考えればいいのである。
そして、お客様のことを知り、希望を管理させてもらうという考えを持つことが大事である。何となく顔を知っているから何度か来てくれているお客様だとか、話したことがある気がするといった、曖昧な記憶に頼った顧客管理をしていては安定経営は望めない。その理由は、お客様の好みを知らなければ適切な品揃えはできないからである。
●アップセルとクロスセル
売上げアップの単純で最良の方法は、平均売上げ価格を上げること。つまり、アップセル、クロスセルである。
昔、おむつとビールというクロスセルがあった。アメリカでは「おむつを買った人はビールを買う傾向がある」というマーケティング分析の事例で、データマイニングと一緒に語られることが多かったらしい。
1992年12月に「ウォールストリートジャーナル」に掲載された「米国中西部の都市にある店では、午後5時に紙おむつを買った人は次にビールを半ダース買う可能性が大きいことを発見した」という記事が発端とされる。
「米国の大手スーパーマーケット・チェーンで分析した結果、顧客はおむつとビールを一緒に買う傾向がみられた。そこで調査の結果、子どものいる家庭では母親はかさばる紙おむつを買うように父親に頼み、店に来た父親はついでに缶ビールを購入していた。そこで、この2つを並べて陳列したところ、売上げが上昇した」というものであるが、スーパーの名前がウォルマートになったりセブン-イレブンになったり、木曜日になったり週末になったり、いろいろなパターンが登場したことから伝説の類と考えられる。
しかし、こういった法則があるとしたら、そしてそれをあなたが見つけたとしたら素晴らしい結果が待っているだろう。冬、鍋の時期に白菜の側にカセットガスは置いてあるだろうか。蕎麦やうどんの脇に割り箸は置いてあるか。給料日直前の食卓は安価な食材が最善だろうから、もやし中心のメニューを考えてレイアウトしてみる。こういった消費者の気持と行動を追ってみることが必要なのである。