小さな会社・小さなお店が儲ける法
お客様の価値観を知り、お客様の価値を高める
2010/02/25

【2月25日更新】

●マスマーケティングは安売りマーケティングか?
多少は光明が見え始めた業種もあるようだが、まだまだ世界的不況の中で喘いでいる状態。二番底を心配する声もあるし、日本には少子高齢化の問題もある。この先、高度成長は望めないにしても、じんわりと成長していきたいものである。
人口は減少傾向を示し、家計収入も増加しないことから、高度成長を支えた大量生産・大量消費、そしてマス・マーケティングは、すでに曲がり角を越えてしまった。今やマス・マーケティングは、安売りしかできないように見える。

昨年春にユニクロが990円のジーンズを発売し、その後イオンが880円を出して、秋には西友が850円のジーンズを発売した。牛丼は再び280円で提供する店が現れ、250円のコンビニ弁当も出てきた。
そして、「ユニクロ栄えて国滅ぶ」~自分さえ良ければ病~という、エコノミスト浜矩子氏の記事が話題になった。格安商品だけが生き残るようになると、過激な安売り競争がコストを圧縮させ、労働者の賃金切り下げを招いて、国家的に負のサイクルにはまり込んでいく。つまりこのような、自分だけが勝ち残ればいいという考えは、社会全体では不利益を生んでいるのだ。というような主旨である。

この記事に、当事者であるユニクロの柳井氏が、ユニクロの客単価は上がっている。安いだけの商品はもう売れない。ユニクロが990円ジーンズを売り出したのは付加価値のある商品を低価格で提供しますという宣伝効果を狙ってのことであり、最初にやったからニュース性がある。二番煎じでは意味がない。と週刊現代誌上で反論している。しかし、三番煎じだった西友のジーンズも予想の3倍売れているそうで、やはり、安売り戦争を誘発していると言われるのも致し方ないことだろう。
この論戦には、その後も賛否両論出てきているが、マスコミがこれまでのように単純に安いぞ安いぞうれしいぞという論調でなくなったことだけは感じられる。

しかし、いずれにしても小さなお店や小さな会社は、こういった安売り競争に加わる体力もないし勝算もない。あくまでも付加価値で勝負していくべきなのだが、どんな要素を加えればいいのだろう。品質、デザイン、サービス、さらに企業としてのコンテンツ、ストーリーなど、様々なファクターが考えられる。当事者では気づかないところも多いだろうし、間違ったら取り返しがつかないから、ぜひDMGにご相談ください。
また、これまで疑いを持たずに実行してきたマーケティング活動には、顧客の消費行動とのギャップがあって、利益を縮小させていた部分もある。このあたりを見直すことも必要になってきた。

●お客様の志向を先取りする
物余りの時代になり、物品がほとんどの人たちに行き渡ると、極端な安売り商品を望まない消費者は、他人とは違うモノ、自分だけのモノを欲するようになった。

例えば、安価な衣料品を揃えていることで知られる「ファッションセンター・しまむら」には、まったく同じデザインのウェアは置いていないし、「ファーストリテイリング・ユニクロ」も色数を増やし、以前のように繁華街で見回すと何人かが同じ商品を着ているという事態は避けられるようになってきた。同じファストファッションのH&Mも商品の回転を早めて、他の人とカブらないようにしている。
安さだけを追求している感のあるスーパーのPB(プライベート・ブランド)でさえ、品質を高めたり、カラーバリエーションを豊富にしてきている。西友の衣料品PB「ジョージ」は最新の流行を取り入れているし、イオン系のPB「トップバリュ」のパンツは8色での展開をスタートさせた。
個性なき大量生産-大量販売は過去のものとなり、小ロット多品種生産の時代である。ただし、現在小ロット多品種が成立しているのは、中国や東南アジア諸国などとの賃金格差のおかげだから、これから先どうなるかはわからない。

しかし、一口に他人と違うものといっても、ただ違えばいいというものではない。お客様がこだわる部分もあるだろう。その人にとって本当に必要なことは何なのだろうか。デザインなのか着心地なのか、あるいはそのどちらでもないのか。お客様が年齢を重ねていくと価値観が変わってくることも考えられる。そうした志向の変化も顧客を知る努力を続けていれば、先取りできる。すべてのビジネスチャンスはお客様を知ることから現実になるのである。つまり、顧客データベースが必要ということである。

●買いたいときに売ってない不思議
マス・マーケティングの時代ではなくなっているのだから、売り場ももう一度考えてみたい。
これまでアパレル業界のマス・マーケティングは、季節の先取りを企画してきた。真夏には秋物を、真冬には春物を売り場に並べ、大量のCMを流して告知していったのである。しかし、本当にそれで良かったのか?
消費者は本格的に寒くなった時に厚手のコートが買えず、猛烈な残暑の時期の店頭には長袖のポロや秋物のセーターが並んでいたのである。これは消費者にとって不幸なだけでなく、ショップにとっても大きく売上げを落とす行為だったはずだ。

日本には世界に誇れる四季がある。この四季は、消費行動を刺激してくれるものである。夏は暑く、冬は寒い方が総合的な景気だって良くなるもの。この「シーズン・バリュー」を、有効に活用すべきである。
マーケティングに先取りは必要なことなのだが、現場で起きている需要にも対応する姿勢がなくてはならない。こういう不思議なマーチャン・ダイジングはお客様の欲求をしっかりと見つめ、きちんとコミュニケーションを取れていればあり得ない話なのである。

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●安定の秘訣は痒いところに手が届く対応
商売のエリアを広げて顧客を創出することは常に考えていなければならないことだが、物理的に顧客数の飛躍的な増加は難しい時代になってしまっている。そこで、これからは現実にいらっしゃるお客様との関係を密にして離脱を防ぎ、お店や企業のさらなるファンになっていただいてLTV(ライフタイムバリュー:顧客が生涯にわたって持つ企業にとっての価値)を高めることが、より重要になる。

デパートに入っているアパレルショップでは、バーゲンやセールの開催時期になると、上顧客と親しくしている店員が電話をしてお知らせするが、それは単純にセールの開催ではなく、混み合うことを知らせる意味もあるという。
超上顧客への対応は「○月○日から○日までは秋の感謝セールを行いますので、少々混み合うことと思います。ですから、○○様にはご来店をお勧めできません。ご覧になりたいというものがありましたらお取り置きしておきますので、セールが終わった後にじっくりご覧いただければと思います」という言い方になって、さらに優越感を刺激し、ファン心理を植え付けていく。こういった手法は、小さな店も真似していいものだと思う。もちろん時には、優良顧客だけのお友達優待セールなどを行って、上顧客層の拡大を目指していくことも必要である。

また、少子高齢化ということは、人口の移動が少なくなることも意味している。顧客の多くがその地域に住み続ける人たちであると考えると、良い評価は確実に浸透するが、対応を間違えるとアッという間に顧客はいなくなって、立ち直れなくなる。
先ほども書いたが、お客様は年齢とともに好みが変化していくだろうし、家族構成に変化が起きることもあるだろう。そこで必要なのは、例えば「ご用聞き」のように痒いところに手の届く対応であり、お客様の心に響き、お客様の心を捉えて離さない家族的な関係を構築するマーケティングなのである。

次回は「売上げの構成要素」を考えます。