小さな会社・小さなお店が儲ける法
適切なCRMには適切なリレーションシップ・シナリオがある
2009/12/12

【12月12日更新】

●一番大事なのはお客様のLTVの拡大
CRMを推進し、既存顧客から収益を上げる指標として用いられるのがLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)だ。

LTVは、個々のお客様が企業やショップに対して支払う合計金額から、顧客維持や販売にかかる全費用を引いた累積利益額であり、企業やショップから見てそのお客様と取引することで、どれだけの利益をもたらしてくれるかを測定する長期的な指標。CRMの目的は、このLTVを創り出し、それを最大化することなのである。

前にも述べた通り、あなたの会社が作る商品と同等の物をどこも作らず、あなたの店舗で売られている商品をどこのお店も売ることができない規制があるのなら話は別だが、ほとんどの場合、あなたの会社の商品と同等の物をどこかが作っており、あなたの店にある商品は他のどこかの店でも買うことができるのだ。
するとお客様をつなぎ止めておくためには、お客様に満足感を持っていただくことが必要になる。そこでCRMが重要になり、中でも威力を発揮するのがワントゥワン・コミュニケーションである。

お客様が他店や他店の商品に浮気しないように、いつも自分のお店で満足していていただくためにかける費用がCRM費用。お客様のLTVによってその額は変わってくるのは当然だが、先ほどのRFM分析と同様に、期間をキチッと区切って評価する方法は危険である。人間は、気まぐれなところが多々あるものだ。別に何が気に入らないというわけではないが、ふっと別の店に行くこともあるし、突然戻って来ることもある。
そこで、累積購入金額データを大切にしたい。原則として過去から今日までの顧客毎の累積購入金額によって顧客を区分する。つまり、一定期間内に取引がなくても顧客の価値は下がらないのである。

この累積購入金額データを使用してCRMを行う際には、きちんとしたリレーションシップ・シナリオが必要になる。上手に活用することができれば、顧客のLTVを押し上げていくことができるので、ぜひDMGに相談していただきたい。

●平等な対応をすると優良顧客がいなくなる
店舗・企業は、お客様に対して平等にではなく、公正に対応するべきである。
毎月2万円使ってくださるお客様と千円のお客様を同じに扱うことは、優良顧客に対して公正とは言えない。平等に対応したことで、2万円使ってくださる優良顧客が離脱してしまうこともある。

ワントゥワン・マーケティングの目的の一つは、優良顧客を識別して優遇することである。しかしここで、何を基準にして優良顧客と考えるかが問題になる。優良顧客の選別を店長やマネージャーに一任しているところもあるが、ついつい話しやすいお客様だけを優遇してしまい、より購入されている口うるさい顧客をないがしろにして、結果離脱される例も起きている。実際、優良顧客の多くは口うるさい客で、店員が一番嫌いな客が優良顧客ということはよくある話なのだ。そこで、選別は、データを重視してなされるべきである。

アメリカのFSP(Frequent Shoppers Program=顧客を購入金額や来店頻度によって選別し、サービスや特典を変えることによって効率的な販売戦略を展開して「優良顧客への育成と維持」を実現しようとするプログラム)には、レジで値引きするといった周囲の人たちの感情をまったく考慮しないものもある。意図的に「優良顧客になればこれだけ得をしますよ」と伝えようとしているのかも知れないが、こういうあからさまな方法は日本人の感覚には馴染まない。日本ではやはり累積ポイントを商品券と交換するなどの方法が好ましいだろう。

顧客に対して平等とか公正という以前の問題として、美容院などがしばしばチラシや情報誌で行っている、初来店者だけの割引サービスを見たことがあると思う。しかし、このチラシや広告記事は、どう思われているのだろうか。少なくとも優良顧客にとっては実に腹立たしいはずである。

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優良顧客である彼女たちは、いつも来ている自分たちより安い金額で同じ作業をしてもらう客がいるだけで気分が悪いのに、そのためにお店が混雑して待たされたりもするのである。こんな顧客対応をしていたのでは、優良顧客が離れてしまって当然だ。この広告で来店するお客は、次はまた初回者割引のある店に行く人なのである。
また、チラシに書いてある割引価格に技術料や指名料などを上乗せして請求する、言語道断ほとんど詐欺のような店もあるとのこと。こんな店に再来店する人は希だろう。
このように顧客の気持ちを想像することができない経営者が多いのはなぜ?本当に不思議に思うのである。

次回は、「最強のワントゥワンコミュニケーションは家族的な関係」をお届けします。