【2月25日更新】
●マスマーケティングは安売りマーケティングか?
多少は光明が見え始めた業種もあるようだが、まだまだ世界的不況の中で喘いでいる状態。二番底を心配する声もあるし、日本には少子高齢化の問題もある。この先、高度成長は望めないにしても、じんわりと成長していきたいものである。
人口は減少傾向を示し、家計収入も増加しないことから、高度成長を支えた大量生産・大量消費、そしてマス・マーケティングは、すでに曲がり角を越えてしまった。今やマス・マーケティングは、安売りしかできないように見える。
昨年春にユニクロが990円のジーンズを発売し、その後イオンが880円を出して、秋には西友が850円のジーンズを発売した。牛丼は再び280円で提供する店が現れ、250円のコンビニ弁当も出てきた。
そして、「ユニクロ栄えて国滅ぶ」~自分さえ良ければ病~という、エコノミスト浜矩子氏の記事が話題になった。格安商品だけが生き残るようになると、過激な安売り競争がコストを圧縮させ、労働者の賃金切り下げを招いて、国家的に負のサイクルにはまり込んでいく。つまりこのような、自分だけが勝ち残ればいいという考えは、社会全体では不利益を生んでいるのだ。というような主旨である。
この記事に、当事者であるユニクロの柳井氏が、ユニクロの客単価は上がっている。安いだけの商品はもう売れない。ユニクロが990円ジーンズを売り出したのは付加価値のある商品を低価格で提供しますという宣伝効果を狙ってのことであり、最初にやったからニュース性がある。二番煎じでは意味がない。と週刊現代誌上で反論している。しかし、三番煎じだった西友のジーンズも予想の3倍売れているそうで、やはり、安売り戦争を誘発していると言われるのも致し方ないことだろう。
この論戦には、その後も賛否両論出てきているが、マスコミがこれまでのように単純に安いぞ安いぞうれしいぞという論調でなくなったことだけは感じられる。
しかし、いずれにしても小さなお店や小さな会社は、こういった安売り競争に加わる体力もないし勝算もない。あくまでも付加価値で勝負していくべきなのだが、どんな要素を加えればいいのだろう。品質、デザイン、サービス、さらに企業としてのコンテンツ、ストーリーなど、様々なファクターが考えられる。当事者では気づかないところも多いだろうし、間違ったら取り返しがつかないから、ぜひDMGにご相談ください。
また、これまで疑いを持たずに実行してきたマーケティング活動には、顧客の消費行動とのギャップがあって、利益を縮小させていた部分もある。このあたりを見直すことも必要になってきた。
●お客様の志向を先取りする
物余りの時代になり、物品がほとんどの人たちに行き渡ると、極端な安売り商品を望まない消費者は、他人とは違うモノ、自分だけのモノを欲するようになった。
例えば、安価な衣料品を揃えていることで知られる「ファッションセンター・しまむら」には、まったく同じデザインのウェアは置いていないし、「ファーストリテイリング・ユニクロ」も色数を増やし、以前のように繁華街で見回すと何人かが同じ商品を着ているという事態は避けられるようになってきた。同じファストファッションのH&Mも商品の回転を早めて、他の人とカブらないようにしている。
安さだけを追求している感のあるスーパーのPB(プライベート・ブランド)でさえ、品質を高めたり、カラーバリエーションを豊富にしてきている。西友の衣料品PB「ジョージ」は最新の流行を取り入れているし、イオン系のPB「トップバリュ」のパンツは8色での展開をスタートさせた。
個性なき大量生産-大量販売は過去のものとなり、小ロット多品種生産の時代である。ただし、現在小ロット多品種が成立しているのは、中国や東南アジア諸国などとの賃金格差のおかげだから、これから先どうなるかはわからない。
しかし、一口に他人と違うものといっても、ただ違えばいいというものではない。お客様がこだわる部分もあるだろう。その人にとって本当に必要なことは何なのだろうか。デザインなのか着心地なのか、あるいはそのどちらでもないのか。お客様が年齢を重ねていくと価値観が変わってくることも考えられる。そうした志向の変化も顧客を知る努力を続けていれば、先取りできる。すべてのビジネスチャンスはお客様を知ることから現実になるのである。つまり、顧客データベースが必要ということである。
●買いたいときに売ってない不思議
マス・マーケティングの時代ではなくなっているのだから、売り場ももう一度考えてみたい。
これまでアパレル業界のマス・マーケティングは、季節の先取りを企画してきた。真夏には秋物を、真冬には春物を売り場に並べ、大量のCMを流して告知していったのである。しかし、本当にそれで良かったのか?
消費者は本格的に寒くなった時に厚手のコートが買えず、猛烈な残暑の時期の店頭には長袖のポロや秋物のセーターが並んでいたのである。これは消費者にとって不幸なだけでなく、ショップにとっても大きく売上げを落とす行為だったはずだ。
日本には世界に誇れる四季がある。この四季は、消費行動を刺激してくれるものである。夏は暑く、冬は寒い方が総合的な景気だって良くなるもの。この「シーズン・バリュー」を、有効に活用すべきである。
マーケティングに先取りは必要なことなのだが、現場で起きている需要にも対応する姿勢がなくてはならない。こういう不思議なマーチャン・ダイジングはお客様の欲求をしっかりと見つめ、きちんとコミュニケーションを取れていればあり得ない話なのである。
●安定の秘訣は痒いところに手が届く対応
商売のエリアを広げて顧客を創出することは常に考えていなければならないことだが、物理的に顧客数の飛躍的な増加は難しい時代になってしまっている。そこで、これからは現実にいらっしゃるお客様との関係を密にして離脱を防ぎ、お店や企業のさらなるファンになっていただいてLTV(ライフタイムバリュー:顧客が生涯にわたって持つ企業にとっての価値)を高めることが、より重要になる。
デパートに入っているアパレルショップでは、バーゲンやセールの開催時期になると、上顧客と親しくしている店員が電話をしてお知らせするが、それは単純にセールの開催ではなく、混み合うことを知らせる意味もあるという。
超上顧客への対応は「○月○日から○日までは秋の感謝セールを行いますので、少々混み合うことと思います。ですから、○○様にはご来店をお勧めできません。ご覧になりたいというものがありましたらお取り置きしておきますので、セールが終わった後にじっくりご覧いただければと思います」という言い方になって、さらに優越感を刺激し、ファン心理を植え付けていく。こういった手法は、小さな店も真似していいものだと思う。もちろん時には、優良顧客だけのお友達優待セールなどを行って、上顧客層の拡大を目指していくことも必要である。
また、少子高齢化ということは、人口の移動が少なくなることも意味している。顧客の多くがその地域に住み続ける人たちであると考えると、良い評価は確実に浸透するが、対応を間違えるとアッという間に顧客はいなくなって、立ち直れなくなる。
先ほども書いたが、お客様は年齢とともに好みが変化していくだろうし、家族構成に変化が起きることもあるだろう。そこで必要なのは、例えば「ご用聞き」のように痒いところに手の届く対応であり、お客様の心に響き、お客様の心を捉えて離さない家族的な関係を構築するマーケティングなのである。
次回は「売上げの構成要素」を考えます。
【2010年1月21日更新】
●引っ越しの次の日から「ご用聞き」に来た酒屋さん
勝手口から酒屋さんの声が聞こえる。「三河屋でーす。何かご用はありませんかぁ?」。お母さんが「今日は結構です」と応えると「またお願いしまーす」と帰って行った。
今、こんな光景はほとんど見られなくなった。マンガ「サザエさん」でも酒屋の三平君は、1985年に郷里の山形県に帰って行ったそうだから、日本中探してもすでにいないのかも知れない。
しかし、昭和50年代までは、町内にはご用聞きがたくさんいた。毎日使う味噌や醤油などを扱う酒屋さんが多かったが、クリーニング屋さんも2日に一度ぐらいは「何かありませんか」と勝手口に顔を出していた。
こうしたご用聞き担当者は、配達業務もあるから毎日町内を回っている。そして、引っ越しを見つけると手伝いをかって出て、翌日からご用聞きに回るのである。しかし、別にご用聞きをするために引っ越しの手伝いをする感じではなかった。自然にこうした付き合いが成立する時代でもあったのだろう。
●日本人に刷り込まれている「損して得取れ」の美学
考えてみると、富山の薬売りというのも、すごいシステムである。使わなかったら無料、何か困ったときだけ使ってもらい、半年とか一年に一度確認と集金に来るのである。完全に人間の正直さに依存しているビジネスモデルであり、今でもBtoBでは残っている。
中東などから訪日した人が驚くのが道路脇で売っている朝取りの野菜だそうだ。雨露をしのげる程度のバラックの無人店舗に無造作に野菜が並べられており、買う人は誰が見ているわけではないのに脇に置かれた箱にお金を入れてその分の野菜を持っていく。こういう正直さは、日本人の心に刷り込まれているものである(最近はやや不安も?)。
DMGが得意とする単品通販は、こうした「損して得取れ」の気持が生きているビジネスである。最初にモニターとかお試しキャンペーンなどで商品を提供し、試用して気に入っていただけたら固定客になってもらうというものが多い。それまでの業種・業態によっては、当初赤字になるケースもあるが、次第に黒字転化して安定的に利益を重ねていく経営デザインになっている。
●売りたい気持ちが見えるとすべてがウソになる
ここ数年、急増したのがセルフ給油のガソリンスタンドである。以前はガソリンを入れに行くと、水抜き剤だの何だのさまざまな商品を売りつけられて辟易したものだ。そういうやり方に消費者が反感を持っていると気づいたスタンドや石油元売り会社が、海外で主流になっているセルフ給油方式を導入した。
セルフ給油なので給油機ごとに人員を配する必要がないから、人件費を抑えることができ、その分ガソリン価格も多少低めに設定できる。そのためもあって、セルフ店の燃料売上げは伸びているようだ。
しかし、実際には人員は思ったよりも削減されてはいない。セルフ給油の先進国・アメリカだと店員はキャッシャーにいるだけだが、日本では給油施設内にも目を光らせている人員を配置している。実際、くわえタバコでガソリンを入れようとする婦人を見たことがある。気を配っていないと危険なことも多いのである。
そこで、結局今もガソリンスタンドでは、燃料以外のものをどう売るかが課題になっている。そして、教育されているのが「売ろうとしないマーケティング」だ。
「売ろうとしないマーケティング」とは、お客様と親密なコミュニケーションを形成することを目的にし、不信感を持たれないように気を使う接客方法である。例えば、洗車を頼まれたら最終チェックは必ずお客様にしていただき、チェック表にサインをもらう。エアチェックをしたら、タイヤについての知識を提供しながら、一緒にタイヤの状態を確認するといった具合で、給油している間のサービスを通じて少しずつコミュニケーションを深めていく。
ここで肝心なことは、決してその場で色々なものを売りつけようとしないことである。洗車を頼む人はスタンドに来てから決めるのではなく、ほとんどが来る前に決めているという。だから、スタンド内で洗車を勧誘しても無駄だし、押し売りされたと感じられたら次回の給油は他のガソリンスタンドに行ってしまう。
かといって、何もしないのでは結局売上げ増にはつながらない。ここに最大のジレンマがある。これを解決するのが家族的な信頼関係の構築である。
例えば、あなたは家族が乗っている車のタイヤが磨り減っているのを発見し、危険だなぁと思ったら、交換した方がいいよと言うはずである。アドバイスしないことの方が不親切と言える。だから、スタンドの店員としても、本当に危険なことはきちん指摘し、よく説明して交換するように勧めなければいけない。ただし、「タイヤが磨り減っていて危険なので、私どもの店でなくても結構ですから、早めに交換されるといいですよ」とお勧めする。この「私どもの店でなくても結構ですから」によって、お客様の信頼を勝ち取ることができるのだ。
お客様に家族のように信頼していただける関係を築くことを目標にしているのが「家族的関係構築マーケティング」である。家族同然だった磯野家と三平さんのような関係を築きましょう。
●心のないマニュアルサービスから気配り接客へ
友人たちに頼まれて一人でハンバーガーショップに行き、可愛い女子高生アルバイトに5個のハンバーガーと5杯のドリンクを注文した。すると、「店内でお召し上がりですか?」と尋ねられたことがある。大食い大会でもなければ、そんな客はいない。あまりにもマニュアル通りの対応で、言葉は発していても人と人のコミュニケーションをとろうとする気持が感じられない。
それとは逆に、あるハンバーガーショップでは、人手不足から高齢者を採用した。ハンバーガーショップといえば若い女の子のアルバイト先というイメージがあるから、何か違和感を感じていた客たちだったが、あるときハンバーガーだけを注文した客に「お冷やをどうぞ」とお水を持ってきてくれた。このそっと思いやる姿勢こそが家族的であり、それを実践するのが「家族的関係構築マーケティング」である。
そして、このマニュアルを越えた気配り接客は感動を生み、お客様からお客様へと口コミで伝わって、このハンバーガーショップは、モスジーバーと呼ばれて人気店になっているそうだ。
最初にも述べたように、今必要なのは「商品+感動パック」。商品は様々な方法で揃えられるが、感動は家族的な関係を構築しようとする心の中にある。
次回は、「お客様の価値観を知り、お客様の価値を高める」ことを考えます。
【12月12日更新】
●一番大事なのはお客様のLTVの拡大
CRMを推進し、既存顧客から収益を上げる指標として用いられるのがLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)だ。
LTVは、個々のお客様が企業やショップに対して支払う合計金額から、顧客維持や販売にかかる全費用を引いた累積利益額であり、企業やショップから見てそのお客様と取引することで、どれだけの利益をもたらしてくれるかを測定する長期的な指標。CRMの目的は、このLTVを創り出し、それを最大化することなのである。
前にも述べた通り、あなたの会社が作る商品と同等の物をどこも作らず、あなたの店舗で売られている商品をどこのお店も売ることができない規制があるのなら話は別だが、ほとんどの場合、あなたの会社の商品と同等の物をどこかが作っており、あなたの店にある商品は他のどこかの店でも買うことができるのだ。
するとお客様をつなぎ止めておくためには、お客様に満足感を持っていただくことが必要になる。そこでCRMが重要になり、中でも威力を発揮するのがワントゥワン・コミュニケーションである。
お客様が他店や他店の商品に浮気しないように、いつも自分のお店で満足していていただくためにかける費用がCRM費用。お客様のLTVによってその額は変わってくるのは当然だが、先ほどのRFM分析と同様に、期間をキチッと区切って評価する方法は危険である。人間は、気まぐれなところが多々あるものだ。別に何が気に入らないというわけではないが、ふっと別の店に行くこともあるし、突然戻って来ることもある。
そこで、累積購入金額データを大切にしたい。原則として過去から今日までの顧客毎の累積購入金額によって顧客を区分する。つまり、一定期間内に取引がなくても顧客の価値は下がらないのである。
この累積購入金額データを使用してCRMを行う際には、きちんとしたリレーションシップ・シナリオが必要になる。上手に活用することができれば、顧客のLTVを押し上げていくことができるので、ぜひDMGに相談していただきたい。
●平等な対応をすると優良顧客がいなくなる
店舗・企業は、お客様に対して平等にではなく、公正に対応するべきである。
毎月2万円使ってくださるお客様と千円のお客様を同じに扱うことは、優良顧客に対して公正とは言えない。平等に対応したことで、2万円使ってくださる優良顧客が離脱してしまうこともある。
ワントゥワン・マーケティングの目的の一つは、優良顧客を識別して優遇することである。しかしここで、何を基準にして優良顧客と考えるかが問題になる。優良顧客の選別を店長やマネージャーに一任しているところもあるが、ついつい話しやすいお客様だけを優遇してしまい、より購入されている口うるさい顧客をないがしろにして、結果離脱される例も起きている。実際、優良顧客の多くは口うるさい客で、店員が一番嫌いな客が優良顧客ということはよくある話なのだ。そこで、選別は、データを重視してなされるべきである。
アメリカのFSP(Frequent Shoppers Program=顧客を購入金額や来店頻度によって選別し、サービスや特典を変えることによって効率的な販売戦略を展開して「優良顧客への育成と維持」を実現しようとするプログラム)には、レジで値引きするといった周囲の人たちの感情をまったく考慮しないものもある。意図的に「優良顧客になればこれだけ得をしますよ」と伝えようとしているのかも知れないが、こういうあからさまな方法は日本人の感覚には馴染まない。日本ではやはり累積ポイントを商品券と交換するなどの方法が好ましいだろう。
顧客に対して平等とか公正という以前の問題として、美容院などがしばしばチラシや情報誌で行っている、初来店者だけの割引サービスを見たことがあると思う。しかし、このチラシや広告記事は、どう思われているのだろうか。少なくとも優良顧客にとっては実に腹立たしいはずである。
優良顧客である彼女たちは、いつも来ている自分たちより安い金額で同じ作業をしてもらう客がいるだけで気分が悪いのに、そのためにお店が混雑して待たされたりもするのである。こんな顧客対応をしていたのでは、優良顧客が離れてしまって当然だ。この広告で来店するお客は、次はまた初回者割引のある店に行く人なのである。
また、チラシに書いてある割引価格に技術料や指名料などを上乗せして請求する、言語道断ほとんど詐欺のような店もあるとのこと。こんな店に再来店する人は希だろう。
このように顧客の気持ちを想像することができない経営者が多いのはなぜ?本当に不思議に思うのである。
次回は、「最強のワントゥワンコミュニケーションは家族的な関係」をお届けします。
●お客様は意外なところに住んでいた
商店の顧客データベースなら地域も限られているし、顧客の数量もそれほど多くないから、まずはお客様が住んでいらっしゃる場所を確認してみよう。
南側にあるJRの駅から徒歩10分、北側にある私鉄の駅からも徒歩10分という位置にあるMさんのクリーニング店では、1年前から顧客サービスとしてスタンプカードを実施。スタンプが20個たまると、Yシャツ1枚の無料クリーニングサービスまたは200円のキャッシュバックをしていた。
そのカードが150枚を越えたことから、Mさんは、地域で配られていた精細地図のお客様の住所に色を塗ってみたのである。カードが1枚だけのお客様は黄色、2枚あったらその上にピンクを塗るなどして、購入金額が多くなると色が濃くなるようにしていった。すると、店を取り囲むように存在していると思っていたお客様が、実際は北側に偏っていたのである。特に色の濃いお客様は全員北側であった。
これは、商圏の問題なのである。店の南側にあるJR駅近くにはスーパーが2軒もあって互いに競っている。それに対し、北側にある私鉄の駅側には小さな食品スーパーが1軒あるだけで品揃えも芳しくないから、私鉄駅に近い人もJRの駅の方に買い物に行く。つまり、JR駅側の商圏の方が強く大きいのである。
それに加えてクリーニング店という商売上の特性もある。汚れた服を持って長い距離を歩くのもイヤなら、仕上がった服を持って買い物もしたくない。つまり、依頼するときも引き取るときも家に近く、行動の動線上にあるのが行きやすいクリーニング店というものなのである。
この自作の地図を見てお客様の偏りがわかったMさんは、これまで店の周囲半径100メートルにポスティングしていたチラシを、店の南側を20メートルだけにして北側を180メートルに増やした。それにより、売上げを大きく伸ばすことができたのである。
●RFM分析を何度もやるとお客様はいなくなってしまう
さて、次により科学的なデータベース活用について説明しよう。CRM(Customer Relationship Management)をキーワードとして、データベース・マーケティングは発達してきた。つまり、既存客(Customer)との良好な関係(Relationship)を維持し、ひいては収益性を増やすことを目的にして来たのである。
顧客データベースを構築すると、一般的にR:RECENCY(最終購入日)、F:FREQUENCY(累積購買回数)、M:MONETARY(累積購入金額)の3つを組み合わせたRFM分析をする。しかし、このRFM分析は、セルを作ってそのセルに名前をつけたものなのだ。Aさんを優良顧客と認定しているのではなく、R1F3のセルにいるからAさんは優良顧客という考え方。つまり、この時点でワントゥワン・マーケティングという意識からは外れてしまっていると言っていい。
そして、RFMには時間軸が入っている。直近半年間のRFMを調べた場合、例えば直前の購入が7ヶ月前だと、それまでにどれだけ購入し、今後どれだけ購入する可能性を秘めていたとしても優良顧客にはならない。FやMも同様であり、別の期間を設定して分析してみると、まったく変わってしまうことがある。
健康食品のように常用する商品で、基本的に定期購入するものならば、RFM分析によって顧客を選択し、「有望顧客から優良顧客への引き上げ」とか「離脱防止」など、それぞれのコミュニケーション・シナリオを用意することは効果的である。しかし、靴やスーツのように、半年または1年に一度買うかどうかという商品もある。そこにRFM分析をしたのでは優良顧客はいなくなってしまう可能性もある。こうしたショップでは、クロスセルを考慮したコミュニケーションが望ましいのだ。
また、考えておかなければならないことは、顧客は常に買い続けるわけではないことである。他のお店で買ってしまうこともあれば、購買行動に関心を失う時機もある。そこで、販売者は顧客の購入パターンを考えて分析自体を組立て直したり、コミュニケーション・シナリオやコミュニケーションの質を考えていく必要がある。
例えば、先ほどのMさんのクリーニング店は、その翌年、お客様の生活スタイルを知り、便利さを追求することで売上げをさらに伸ばした。その手法は以下の通りである。
スタンプカードを作って顧客を特定した後、Mさんは来店頻度や購入金額とともに、そのお客様が出す衣服の種類、お客様が来店する時刻、来店する際の服装もデータとして蓄えていった。
すると、20代後半の男性A氏はいつも週末に来店し、主にYシャツを出して前週の分を引き取っていく。また、平日の昼間に来店される30代後半の女性Bさんは、男物のYシャツが主だが、時には女性用のブラウスや男の子用の上着が混じることもある。これで、ほぼA氏が独身のサラリーマン、Bさんが少なくとも男の子が一人はいる専業主婦だと推測できた。
そこで、Mさんは優良顧客サービスとして、Aさんにはスーツやスラックスの30%割引クリーニング券を、Bさんには何にでも使える20%割引券を渡した。さらにAさんには、夜間の集配を申し出るなどしたため、またまた売上げを大きく伸ばすことができたのである。
RFM分析は、元々が無駄なDMを出さないようにするために考えられたもの。つまり、基本的には顧客を切り捨てるための分析です。単純に分析ソフトを使うだけでは、データベース・マーケティングとは言えません。DMGは、効率的にデータを運用し、顧客を育成する方法を知っています。ぜひご相談下さい。
次回は、「本当に大事なことは何か?」と「平等にではなく公平に」をお届けします。
●売上げはお客様の購入動機で決まる
企業は製品を作れば売上げができるわけではない。店舗は品物を並べれば売上げができるわけではない。すべての売上げは、お客様が買うという行動を起こした時に計上されるのである。
あなたの会社が作っている商品と同等の物をどこも作らず、あなたのお店で売れている商品をどこの店舗も売ることができないという規制があるのなら話は別だが、ほとんどの場合、あなたの会社の商品と同等の物をどこかが作っており、あなたの店にある商品は他のどこかの店でも買うことができる。
とすると、お客様があなたの店を利用した理由は何なのだろうか?また、そもそもあなたのお店は、なぜその商品を置いてあるのだろうか?
こうした疑問を追求していくと、売上げの拡大が見えてくる。
●あなたの会社・店舗の特長は何か?
あなたの会社(店舗)は、
・何を売っているのか?(日常使いの物なのか、特別の日用の物なのか、耐久消費財か、贅沢品か、など)
・誰に売ろうとしているのか?(若者向け、主婦向け、シニア向け、など)
・販売エリアはどこか?(特定地域か=その地域の特色は?、全国か)
・あなたの会社や店舗にコンセプトはあるか?
こういった商品構成、顧客ターゲット、企業コンセプトなどを列挙し、あなたの会社(店舗)の存在意義を言葉にしてみるといい。それは、「地域の人たちの豊かな暮らしに関わること」でもいいし、「全国に優れた製品を行き渡らせて国民生活に貢献する」といった大上段なものでもいい。しかし、単純に利益を拡大したいなどというものより、社会的に意味を持つものにした方が良い。こうした存在意義が会社(店舗)にあると、困ったとき、迷ったときの行動指針になるのである。
もちろん、口で言っているだけではなく、何かつけて行動することが大切だ。地域の人たちの豊かな暮らしに関わるのなら、ただ単に商品を陳列しているだけではなく、どうしたら良い物を販売できるか、どうしたら買ってくれるようになるかを考え抜くことが必要である。
例えば、あなたの店舗が扱っているワインや日本酒、焼酎などによって、地域の人たちにより豊かな暮らしを楽しんでいただきたいと考えるなら、ワインや焼酎の産地や生産者などの情報を発信したり、飲み比べのイベントを開催するなど、店舗のコンセプトや意義を実践するために、お客様とコミュニケーションをとっていくことも必要になるだろう。
そして、最終的に肝心なのは、そのコンセプトが、実際のお客様に受け入れているかどうかである。それを確認するためには、まずお客様を知らなければならない。
性別は?年齢は?お住まいは?。あなたの会社のコンセプトと合っているかどうかを確かめるには、さらに詳細なお客様のデータが必要になるかも知れない。それは、質問項目を検討し、精査して制作することで可能になるから、DMGがお手伝いします。
若者向けの品揃えを考えて若者向けのショップデザインをしていたのに顧客の65%は40歳以上だったとか、地域の活性化を望んでいたのに値引き競争を仕掛けていただけだったとか、もしも顧客データと顧客ターゲットや企業コンセプトが違っていたなら、どちらかを修正する必要があるのです。
●お客様を知ることで経営は強固なモノになる
商店の場合、お店のあるエリアにどのくらいの人口が暮らしているかは知っているだろう。また、毎日どのくらいの人が店の前を通るのかは調べているかも知れない。
しかし、その中の何人がお客様として店で商品を購入してくれた人で、またその中の何人が何度も購入してくれているお客様なのかを知っているだろうか。ここが一番大切なところなのである。
何となく顔を知っているから何度か来てくれているお客様だとか、話したことがある気がするといった、曖昧な記憶に頼った顧客管理をしていては安定経営は望めない。その理由は、お客様の好みを知らなければ品揃えもできないからだ。
顧客の年齢も住所も仕事も何でも知っている必要はないが(こんなお店はかえって怖い)、ある程度暮らしぶりをイメージできるぐらいは知っていないと、最適な品揃えやサービスを提供することはできない。
根本的な商品選択はお店が主導権を握るべきだが、お客様のことを何も知らずに品揃えをしているということは、単に自分の好みの品揃えであり、暗闇に向かって鉄砲を撃っているようなものである。ときにはまぐれで当たるかも知れないが、何度も続いて当たるはずがないから、経営は安定しない。
お客様が購入してくれたから売上げができたのだということを忘れてはならない。ただ陳列していたのでは売上げは生まれないのだ。そこで、何か購入していただいたら、つまり顧客になっていただいたら、ポイントカードを作るなどの方法で、顧客データに登録できるシステムを作って、お客様を知る努力をする必要がある。
●役に立つ顧客データベースの作り方
通信販売だと注文や発送伝票から顧客データベースを構築していくが、店舗の場合はそうはいかない。そこで、会員制度やポイントカードによって顧客データを獲得する。
しかし、時々見かけるがポイントカードに住所・氏名などを書く欄がないのでは、何のためにポイントカードを作っているのかわからない。ポイントシステムは顧客データを取らないと単なる値引きだけになってしまうのである。
ポイントを付与した日時の記入欄がないと来店頻度もわからない。来店時間がわかると、そのお客様の行動パターンを推測できるかもしれない。大切なデータをとるには、事前にしっかり考え抜いた項目作りが必要なのである。
例えば、クリーニング店だったら、来店時間や曜日、来店時の服装などによって、お客様一人ひとりの生活形態に合わせた適切なサービスを考え出すことができる。
必要事項は、基本的には氏名、住所、生年月日、性別、購入日、購入商品ジャンル、購入金額など。業種、業態に応じたデータ項目とデータベース構築には、DMGのように経験豊富な企業の知恵を活用していただきたい。
こうして自前で作ったデータをハウスリストという。通信販売協会の調査によると、購入顧客を一人獲得するための費用、つまりCPOは6000~10,000円といわれている。しかし、業種によって異なり、2万円以上かかる場合も少なくない。
このハウスリストは貴重な財産であるから、ときどきデータのクリーニングを行い、常に精度の高いものにしておかなければならない。また、その運用にあたっては個人情報保護法にも注意しなければならない。このあたりもDMGならすべてをサポートできるから安心です。
次回は、データベースの活用についてお話しします。
●成長著しい単品通販の考え方を取り入れて儲ける
大不況が叫ばれる中で、成長し続けている業態がある。それが通信販売だ。
中でも扱う商品ジャンルを一つに決めて事業を行う単品通販は、それまで通信販売の主流だった総合カタログ通販にとって代わる伸びを示していて、ここ数年の間に急成長した企業も数多くある。
一つの商品をクローズアップし、商品の誕生秘話からさまざまなメリット、使用者の感想まで、これでもかとばかり微に入り細に入り徹底的に訴求し、使用してみるように説得していくのが単品通販の基本スタイル。
そして、この単品通販という言葉を生み出し、発展する企業に関わって初期コンサルティングからフルフィルメントまでをサポートをしてきたのが、ダイレクト・マーケティング・グループ(DMG)である。DMGには、成功するためのノウハウが蓄積されているのです。
●今、商売に必要なのは「商品+感動パック」
通信販売をはじめとするダイレクト・マーケティングには、一般的な商売とは違う考え方がある。それは、お客様のことを知り、お客様の志向を考慮して経営しようとする姿勢である。
そこで、お客様のことを知るためにさまざまな手段を用いて情報を入手し、蓄積して顧客データベースを構築する。そして、蓄積されたデータからお客様の好みやライフスタイルを明らかにし、お客様一人ひとりに適した商品や購入方法などを提案する。
つまり、ダイレクト・マーケティングの目指すものはワントゥワン・マーケティングである。
また、単品通販の場合には、お客様の心の琴線に触れる、商品にまつわる「由来物語」の出来いかんで売上げが決まることもある。お嬢さんの病気を治すために、一生懸命研究した結果完成したとか、主力商品開発のための研究から付属的に生まれたとか、人気の商材にはさまざまなストーリーがある。
この「由来物語」は、嘘であってはならないが、意外に内部にいると気づかないことがある。自分や家族の美点はなかなか気づかないようなものだ。また、公平さも必要だから、DMGのような外部の視点も重要なのです。
お客様のことを良く知り、たおやかなコミュニケーションをとりながら、お客様が自社の商品に対して使ってくださる金額を最大化していくのが単品通販の経営デザイン。単品通販は、「商品+感動パック」であり、私たちがお客様に対して提供するものは、心のご馳走=感動ともいえる。
今、街を歩くとシャッターを閉じている店を多く見かける。スーパーなど大型店舗の参入で衰退している商店、大型ディスカウントの登場で利益を圧迫されている中小メーカーの方たちにぜひ読んでいただきたい。起死回生のヒントは、この単品通販の考え方の中にあります。
DMGは長年の経験に基づいて、あなたの会社・店舗に最適な顧客データベース作りと、あなたの会社・店舗に最適なワントゥワン・マーケティングシステムを構築いたします。
次回は、顧客データベースの作り方についてご説明します。
小さな会社や商店でもしっかり利益を出すのが、今の時代にふさわしいビジネスでは?その方法とは?顧客の注文情報が残っている通信販売のノウハウを生かせば、今のビジネスがもっと儲かります。ダイレクトマーケティングの専門家がその方法を紹介します。お楽しみに!