【7月21日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第⑬回。今回はドアオープナーである。
■ドアオープナーの役割
これも広い意味でギミックの中に入る。
ダイレクトメールは開封されてその訴求効果が現れる。開封されなければ、まったく意味がない。そのままごみ箱に捨てられる運命にある。そこで、封筒の上から触れて、中に何か入っていると思わせ開封につなげるのである。
あるいは透明な窓から切手のような物を見せて興味をもたせ開封させるものもある。これらには当然、封筒の表面に書かれているティーザー・コピー(くすぐるコピー)が重要となる。
「重要情報在中!あなたにとって大切な資料が入っています。いますぐ中をご覧ください」
「中の切手をどうぞ有効にお役立てください」
というようなコピーで開封へと誘導する。
基本的にドアオープナーはレスポンス・アップへとつなげる手段のひとつである。
■ドアオープナーの開発ポイント
1)費用対効果
販売する商品やサービスの価格からみて、高額なものは使えない。費用対効果を前提に気の利いた安価なコストのものを考えよう。注意しなければならない点は、定形郵便の場合は厚さ1cm以内という規定があり、それを超えた場合は郵便料金が上がってしまうため今まではドアオープナーを探すのに制約があった。しかし、現在は宅配便もあり、ユニークなドアオープナーも開発されている。
2)商品・サービスとの関連性
例えば、化粧品や健康食品の通販であれば無料サンプルなどがふさわしいであろう。また、金融機関の資産運用などでの来店促進DMであれば、「資産運用豆知識」などの小冊子が良いアイテムと考えられる。
ボールペンなどの筆記用具は、申込書やアンケートの記入用として使えるため業種に関係なく、便利なドアオープナーと言えよう。
■ドアオープナーの種類
(1)固形状のドアオープナー
・コイン(トークン) ・ボールペン(鉛筆) ・無料サンプル ・CD-R ・プレート状の保証書 ・香り袋 ・花の種 ・小冊子 ・自動車のキー状のもの ・携帯ストラップ ・オリジナル定規(電話帳) ・マグネットしおりなど
(2)シート状のドアオープナー
・切手 ・宝くじ ・おみくじ ・シールくじ ・ナンバリング ・押し花しおり ・スクラッチカード ・保証書 ・割引券 ・無料招待券など
写真解説(上から)
① ゴールド・シール;「このシールの下に赤い星のマークが現れたら、抽選に参加できる。」と書いてあり中の同封物に興味を持たせ開封につなげる。
② ゴールド・シール;封筒にナンバーが書いてあり、「82人に1人が当たるゴールド・シール在中」と書かれてあり、何か当たるものが入っているので開封につながる。
③ ゴールド・シール;「抽選に参加になさる為、このシールをお使いください」と書かれていて、思わず開けたくなる。
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【7月6日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第12回である。
今回はいよいよギミックの紹介である。ギミックとはもともと手品のからくり、トリックという意味で、商品やサービスの広告で、消費者の興味や注目を引くために利用される仕掛けである。一種の広告テクニックとして用いられる。ダイレクトメールで言えば、ラブオフやスピードくじなど。広い意味ではドアオープナーなどもこの部類に入る。
■ギミックの役割
ギミックとは、ティーザー・コピーやドアオープナーと同様、開封率を上げる役割と開封後のお客様への遊び心を刺激し、商品・サービスの興味を起こして欲求へとつなげていく一種の心理効果を狙った仕掛けである。
■ギミックの種類
アメリカで生まれたダイレクトマーケティングは、レスポンス広告の中のダイレクト・メール(DM)に特化してギミックの開発に力を入れてきた。
そのためさまざまなギミックが開発されその効果は立証されてきた。まさに、遊び心だけでなく驚きを与えしかもそれが実用品であるならば消費者、とりわけ顧客にとってはうれしい限りではないだろうか。
もちろん高いレスポンスをあげているものである。
それではいくつかのギミックを紹介しよう。
①ナンバリング
宝くじのナンバリングである。お客様に番号を提供して特別感を作り出す。
抽選オファーとの組み合わせでより効果的なレスポンスが見込まれる。
②ピールオフ
レターなどに付けたシールを申込書の所定の欄に貼って申込む。遊び心を刺激する仕掛け。
③ラブオフ
削ると番号やイラストが現れ、当たり、はずれのゲーム性を刺激する仕掛け。
商品やサービスを購入する際の割引オファーなどとの組み合わせが効果的。
④プシュオフ
申込書の一部に動物や星型などの型をミシン加工を施し、申込む際に指で押して、くり抜くと特典を得られる仕掛け。
⑤ウェットアンドシー
水で濡らすと数字や絵が浮き出る仕掛け。特典に応じた景品や割引が適用される。
⑥3Dボックス
突然DMの封筒の中から飛び出してくる立体型のキューブ。自社のCMやカレンダーなどが刷り込まれている実用的で長期保存を目的にした仕掛け。
⑦立体見開きカード
DMなどで使われる立体カード。飛び出す絵本やグリーティングカード形式でお客様を驚かせる。
⑧見開きメロディカード
立体見開きカードと同様の仕掛けで、カードや冊子を開くとメロディーが鳴る仕掛け
誕生日や記念日またシーズンでのメロディを選ぶことで顧客継続性を保つ。
⑨スピードくじ
単体の三角クジやウェットアンドシーでその場で結果がわかるクジで遊び心と購入へのきっかけづくりに効果的な仕掛け。
写真説明;(左から右へ)
●一番左の列;
下の銀色の小封筒を開けると『お楽しみスピードくじ』券が出てくる。ウェットアンドシーで浮き出た数字が印刷されている数字のどれかと一致すれば当たり。
●左から2番目の列;
小封筒には「もし金の星が3つ入っていれば当たりです」と書かれている。中を開けると金の星が3つ入っている。
●一番右の列;上から
三角くじ;開封すると当たりが出てくる。
ウェットアンドシー;水で濡らすと数字が浮き出る。印刷されている数字のどれかと一致すれば当たり。
ラブオフ2点;左側 MYSTERY TREE 銀色の部分をコインなどでこすって、3つのリンゴが出てきたら当たり。右側;同じく銀色の部分をこすってダイヤのエースがでたら当たり。
すべて当たりは「素敵なプレゼント」贈呈!
拡大画像はこちらをご覧ください。
【6月21日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第11回。
日本リーダーズダイジェスト社の紹介の続きである。
オイルショック発生
1973年(昭和48年)オイルショックが発生し、前年からの列島改造ブームによる地価急騰で急速なインフレが発生していたが、さらに加速されることとなった。トイレットペーパーや洗剤など、原油価格と直接関係のない物資の買占め騒動(トイレットペーパー騒動)などの社会現象も発生した。
これに伴い、わがリーダーズダイジェストも月刊誌である本誌を出版するべく、カナダから紙を緊急輸入するなど対応に追われた。
リーダーズダイジェスト、発行部数で文芸春秋を抜く
1974年6月に、リーダーズダイジェストは発行部数で文芸春秋を抜いた。抜いた発行部数は61万部。ちなみにトップは家の光で当時118万部であった。
この頃より会社は大きく変貌を遂げることになる。まず社長にウオルター・スタンレー・ホルト氏が本社に戻り、トム・コクレン美術部長が退社した。大儀見氏が社長に就任。3事業部制を敷いた。音楽、美術、出版の3事業部であり、それぞれ中澤音楽部長、前田美術部長、菊谷出版部長が就任した。
機構改革案 100名希望退職募集
1976年、会社より機構改革案が提示された。100名の希望退職募集とセットの提案であった。組合などが反対したが結局100名以上がこれに応じた。翌年、大儀見社長を中心とする新体制が発足した。しかし、これも3年ともたないのである。
「漱石復刻版」事件発生
要点はこうである1979年2月、夏目漱石「復刻版」を出版しようとしたところ、ほるぷ出版より東京地裁に対して出版差し止めの仮処分申請がなされた。ほるぷ出版の許可を十分にとっておかなかったからである。いわゆる著作権法違反である。のちに岩波、春陽堂を巻き込む事態に発展したのである。この問題は8月に和解成立したが、これが影響し大儀見体制は崩壊するのである。
創立者デウィット・ウオレス氏死去
1981年、大儀見社長が退任し、T・D・ウエークフィールド社長が就任する。
この年、創立者デウィット・ウオレス氏が死去する。そして3年後、ライラ・ウオレス氏も死去するのである。
ここで本社において政変が起きる。前発行人ジョージ・グルーン氏を中心とする新体制が発足するのである。管理部門による新体制によって「不採算部門切捨て」という至上命令が下される。
スペイン閉鎖、スエーデン・ノルウェー・フィンランド版統合、フランス版閉鎖と矢継ぎ早に進められた。そして次は日本に照準が定められた。
日本リーダーズダイジェスト社閉鎖
この間、いろいろ経緯があるが割愛する。1986年2月、日本リーダーズダイジェスト社は閉鎖された。日本版編集長による涙ぐましい努力があるが、すべて否定された。かつて日本支社に勤務していて左遷されたひとりのアメリカ人取締役による冷酷な判断があったと言われている。
負債額39億2900万円。創立者デウィット・ウオレス氏は生前こう言っていたという、「どんなに経営が不振でも、日本RD社は必ず立ち直る。だから、援助を続行せよ」。神格化した社主の意向に逆らうことは誰にもできなかった。
最近のリーダーズダイジェストの状況
2007年度より、「リーダーズダイジェスト・ジャパン」として日本語のウェブサイト を開設、セシールと提携したダイレクトメールによる日本マーケットへの本格的な参入がオーストラリアのシドニーを拠点に再開されているが、アメリカなどで発行されている月刊誌ではなく、日常生活のための百科辞典のような本が販売されている。
2009年8月、米国リーダーズ・ダイジェスト・アソシーエション社は世界的な大不況の影響で経営悪化したことから、連邦破産法第11条の適用申請を検討していると発表した。
リーダーズダイジェスト社は債務者との合意を得て破産手続きを行う「事前調整型破産」の形で、混乱を防いで、法的管理下になっても通常通り業務を続けて経営再建を図るとしており、16億ドル(日本の円換算で1500億円相当)の債務の一部株式化などの再建計画案を債権者の過半数と同意・合意したとしており、今後30日間でさらに債権者と協議を重ねた上で、破産法を申請するかについて検討する。
日本経済新聞によると、リーダーズダイジェスト社は世界的な大不況のあおりで読者購読や広告収入が大幅に落ち込み、資金繰りが悪化していたと見られ、現在22億ドルあるとされる負債を、破産法申請後の再建で5億5000万ドルまで押さえる見通しとしている。
出展;リーダイの死(サイマル出版会、塩谷 紘氏著)、リーダーズダイジェスト社内誌、ウイキペディア等。
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【6月10日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第10回である。
今回は日本リーダーズダイジェスト社について少し紹介したい。
その前に創業主であるデビット・ウオレス氏についてすこし追加しておきたい。
ウオレス氏はアメリカ出版界の伝説的人物である。身長は1メートル85センチの長身であった。85歳でコロラド河の激流下りを試み、毎朝庭に出て大ナタを振るって薪をつくるほど、超人的な体力と精神力の持ち主という。ウオレスコレクションは有名である。リーダーズダイジェスト本社のオフィスの壁には時価数千万ドルのシャガールのオリジナルの絵が飾られていた。また「日本が好きだ、日本を尊敬している。」とよく言っていた。日本支社社員の待遇が当時としては高給だったのもウオレス氏の意向といわれている。またウオレス氏は編集者を優遇した。編集者は長年ビジネス側の人間よりはるかによい待遇を受けていた。これがあとから出てくるがビジネス側が編集者と対立する火種になったのではあるまいか。
1981年3月、死去。91歳であった。
1946年6月日本語版創刊。
日本リーダーズダイジェスト社(以後リーダイ)の誕生である。当時、活字に飢えていた国民はむさぼるようにリーダイの記事を読んだ。まだ出版界が戦争の傷跡より立ち直っていない時代でもあった。リーダイが唯一の海外からの情報を得る手段だったのである。発売日には書店に数100メートルの列ができたと聞いている。
当初はほとんどがアメリカ版の翻訳だったが、1970年代中頃から日本語版オリジナルの記事が3割ほどになっていた。通信販売の広告が非常に多い雑誌であった。日本支社労働組合結成に当たっては、本社より「リーダーズダイジェストは全社員が経営陣であるから、運動員はすべて解雇せよ」との指示であったが当時の極東支配人(日本支社長)植栗文夫氏は「日本の労働組合は互助会の様なものなので黙認して欲しい」との返答があり、アメリカ本社も解雇命令を撤回した。
日本リーダーズダイジェスト社屋
1963年、当時、千代田区有楽町にあった毎日新聞東京本社の社屋が手狭になったことから、雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』の日本法人、並びに三和銀行(現・三菱UFJフィナンシャル・グループ)グループの東洋不動産の3社共同出資により、一ツ橋のビジネス街に高層ビルを建設することを目的とした株式会社パレスサイドビルディングが設立された。建設予定地にはアントニン・レーモンドの設計によるリーダーズダイジェスト東京支社ビル(1951年竣工)が建っていたが、1963年に取り壊され、その跡地に建設されることとなった。
工事は1964年7月から着工し、1966年10月1日に竣工。この日より毎日新聞、スポーツニッポン新聞の東京本社(但しスポニチ東京本社の編集機能のみ港区芝浦に所在)、並びにリーダーズ・ダイジェスト日本法人がここに本社機能を移転した。
筆者リーダイに就職
筆者は日本リーダーズダイジェスト社所有のパレスサイドビルディングが建ってから3年ほどした1969年に大学卒でリーダイに就職した。美術部に配属される。当時は前田さんという方が部長代理をしておられた。ニューヨークで本社採用された人である。部長はトム・コクレンというアメリカ人であった。部長は酒好き、遊び好きの人で、よく酔って車を運転し交通違反で呼び出しを受けていた。部長代理の方がこれまた対照的にまじめな方で、この人が実際の部内のきりもりをなさっていた。
リーダイの社長はキャンドリッシュという高齢の方であった。このころ毎年、クリスマスになると全社員が集まって食事をしながらのダンス・パーティーが盛大に行われた。古きよき時代であった。入社して2年目ころにはじめてDM制作を担当した。これは既に本欄で紹介済みである。
筆者マガジン・バルクメイルを担当
1969年、キャンドリッシュ社長が退任され、ウオルター・スタンレー・ホルト氏が本社より社長に就任された。この頃より筆者はマガジン・バルクメイルを担当し急速に仕事が忙しさを増す。1月と6月にバルクメイルを行う。とくに1月バルクは400万通のメイルで大忙しであった。コントロールを含めテストが80件近くあり、少しのミスも許されず胃が痛くなる思いであった。リストテスト、プレミアムテスト、コピーテスト、クリエイティブテスト、マーケティングテスト・・・ありとあらゆる物がテストに掛けられた。そんな中でも、美術部で軽井沢旅行をしたのは良い息抜きとなった。
ウオレス夫妻、リーダーズダイジェスト本社辞任
1973年1月、クリエイティブ会議が復帰前の沖縄で行われた。大儀見取締役以下企画部長、宣伝部長、美術部長他部員合わせて40名余りが沖縄に集結してマーケティング、クリエイティブについてアイデアを出しあった。この会議を元につぎつぎと斬新な企画が実施された。
その年の5月にウオレス夫妻がリーダーズダイジェスト本社を退任することになった。後任として会長兼編集長にホバート・ルイス氏、社長にウオルター・ハイツマン氏が就任した。創業主であったことから、直接の経営を信頼できる部下に任せたということも考えられる。
次号につづく。
下;日本リーダーズダイジェスト社のあったパレスサイド・ビルディング(竹橋)
拡大画像はこちらをご覧ください。
リーダーズダイジェストのDM紹介第9回である。
今回はリーダーズダイジェストの歴史を少し振り返ってみようと思う。
リーダーズダイジェストは基本的には出版社である。本社はアメリカ合衆国のニューヨーク州プレザントビルという所にある。広大な森林の中にあり、小川が流れ、小鳥が舞い、木立の中を鹿が横切る。社屋は古風な木造建築で周囲とよく調和している。そんなたたずまいとは裏腹に社屋の地下は最新のコンピュータ・システムとフルフィルメントを擁する業務部が占め、顧客対応が的確になされている。
一方、1階から上は社長室をはじめ、マーケティング勢が占めている。社主は創業主のデウイット・ウオレスである。美術に造詣が深く、コレクションを多数保有する。
デウイット・ウオレスは第一次大戦から帰国し、大戦で負った傷から回復する間に、大衆雑誌の記事を要約した内容を含む雑誌のアイデアを思いついた。1922年2月5日、リーダーズダイジェストは創刊された。自宅の庭で妻、ライラ・ウオレスと二人で通信販売をはじめたのが始まりらしい。通信販売では1部10セントで売っていた。1929年には新聞雑誌売り場で売られるようになり、1935年には100万部を達成した。アメリカ版の通産100億部目は1994年に発行された。全世界の発行部数は2100万部で、読者は1億人を超えるという。
リーダーズダイジェストのマーケティング
Sweap Stakesと呼ばれる懸賞が何時からか行われるようになった。これを実施するとプロモーションの実績が良くなるからだと思われる。米国にこんなジョークがある「ある日、ビルの屋上から自殺しようとしている者がいた。近くにいた人がとっさに自殺を止めさせるために『あなたはリーダーズダイジェストのSweap Stakesに当たっていますよ。』といった」というものである。いかに広くSweap Stakesが知られているかを物語るものである。
雑誌リーダーズダイジェストの読者募集のDMによって広くリストが集まってくる。リーダーズダイジェストではレスポンスのことを「Pull」という。米国ではそれが4~9%というから驚くべき数字である。このリストをそのままにしておくのはもったいない。そのリストに対して「すばらしい自然」のような単行本を売っていくのである。このようにしてダイレクトマーケティングのノウハウが蓄積されていったと思われる。
リーダーズダイジェストでは30年前から既に顧客データが出来上がっていてリスト分析により「どこどこの○○様はSweap Stakesに当たったらどこどこの郵便局で賞金をお受け取りになれます」と言う様なコンピュータ・パーソナライズしたコピーが書けたのである。
リーダーズダイジェストの国際マーケティングのセクションには7人のディレクターがいて、常に全世界をコントロールしていると聞く。例えばイギリスで成功したフォーマットはドイツでテストする。またスエーデンで成功したフォーマットをフランスで試してみるという具合である。この様に各国の成功体験を共有できるところがリーダーズダイジェストのマーケティングの強みであろう。
リーダーズダイジェストの記事の傾向は
オリジナルの記事、他の雑誌から転載された要約記事、本の抜粋、ジョーク集、逸話、引用、その他の短い記事がある。
記事のカバーする話題の範囲は
政治と政府、健康、国際問題、ビジネス、教育、ユーモアなどである。忙しい読者があまり時間をかけずに話題についていくことができるよう、記事はなるべく短くされる傾向がある。連載コーナーとしては”Word Power” “Life in These United States” “Laughter, the Best Medicine”(笑いは百薬の長)などがある。
編集方針は抜粋と要約である。リーダーズダイジェストには3種類の文書がある。第1のグループは他の雑誌からの転載要約記事である。抜粋と要約はそれぞれ別の編集者が行い、3人目の編集者がその内容をチェックする。さらに少なくとも2名の上級編集者がチェックして承認する。
リーダーズダイジェストの世界観については
個人の成功;リーダーズダイジェストに登場する人物は、不運や社会的困難に対し勇気や団結、神の救いなどにより運命を切開いていく。
楽天主義;リーダーズダイジェストの多くの記事はハッピーエンドで終わる。
道徳的保守主義;当初から性に関し非常にオープンだが伝統的な結婚、国家や規範への忠誠、慈善活動などに公然と賛成し、フェミニズム、自由恋愛、積極的差別是正措置には反対している。
自由市場経済;税制、予算増、労働組合、共産主義に長年反対し、規制緩和の立場である。
次号は日本リーダーズダイジェスト社の話である。
写真説明
上 ニューヨーク州プレザントビルにあるリーダーズダイジェスト本社
中 創業主のデウイット・ウオレス氏
下 妻のライラ・ウオレス氏
拡大画像はこちらをご覧ください。
【5月10日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第8回である。
これは1970年のころだったと思う。筆者が入社後、初めて担当したダイレクトメールである。
リストは、リーダーズダイジェストの地球儀を購入した客である。商品はオリンパスのパールコーダーという当時としては超小型のラジカセである。
まず、ダイレクトメールを制作するに当たって気をつけた点は、開封を促進することである。既存の客であることから、DMに慣れているので「またDMがきたか」という感じを抱かせないことが大切と考えた。また超小型のラジカセということを分かりやすく伝えることに重点を置いた。その結果、OEは無料進呈品を前面に出すことにした。「お得意様へのお買得情報・・・なんと5つのは無料進呈品つき。くわしくは中をご覧ください」としたのである。無料進呈品を前面にだすことにより中の開封に誘導するのである。
また、申込書はこの頃すでにレターと一体型となっていて、レターは過去の客の購買暦がパーソナライズ打ち出しされている。申込書に住所・氏名が打ち出しされていて、これが封筒の窓を透して見える。
ブローシャーにおいて本誌リーダーズダイジェストと商品、パールコーダーを並べて大きさが比較できるように分かりやすくした。またパールコーダーの15のポイント、8つの付属品などの商品特長のほか、代金後払い・割賦利息当社負担・全国無料宅配などオファー特典ももらさず訴求した。
またBREは、優先頒布・申込至急・郵便切手不要・無料プレゼント贈呈など訴求してあり、プレミアム・フライヤーはワイヤレスマイクとその3つの特長などが訴求してあり、いずれもスタンダードなものである。
ではまとめを以下に表示する・・・・
① 外封筒(一番上)
② BRE、プレミアム・フライヤー(左の列)
③ OFC、レター(中央の列)
④ ブローシャー(右側)
拡大画像はこちらをご覧ください。
【4月19日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第7回である。
これは1984年の夏のDMだったと記憶している。本誌リーダーズダイジェスト日本語版のバルクメールであった。
バルクメールなのでコストを抑えなければならないことから、レターつき申込書に添付するシールは袋入りではなく印刷にする必要があった。つまりダブルタックシールを使いシールを印刷し、そこから剥がして申込書に貼り付けるようにした(右の列)。
申込書は①リーダーズダイジェスト最新号の無料進呈②早起き鳥ラッキー賞、9000円抽選参加③秘密のプレゼント受領を兼ねている。
また本誌リーダーズダイジェスト日本語版の購読は、いわゆるネガティブオプションつまりコンティニュアスメイリングとなっており断らなければいつまでも送付される形式になっている。
申込は早起き鳥ラッキー賞といって向こう14日以内より1日きざみで9000円、5000円、4000円・・・と賞金額が引き下げられて行くようになっている。
レターはレスポンスの高い手書きタイプを使用した。もちろんレターには氏名、購入暦などパーソナライズというコンピュータ打ち出しがなされている。
また窓あき封筒はライゲートOEと呼ばれた茶色の外封筒を使用した(左の列)。またAPCも外封筒に連動させなければならないので、ライゲートタイプにした(上部左上)。
BREはバルク(バルクとは100万単位、10万単位で送付するコントロールメイルのこと)であることから、顧客サービス部からの要請により何種類もの他のDMと識別しやすいように、この字型の赤い線を入れることにした。また秘密のプレゼントの当たる「お楽しみスピードくじ」はトランプタイプにした。
以上を分かりやすくまとめると・・・
① ライゲートAPC(上部左上)
② ライゲートOE(左の列)
③ レター&シールつき申込書(右の列)
④ 本誌リーダーズダイジェスト日本語版のブローシャー(中央)
⑤ お楽しみスピードくじ(上部右上)
⑥ BRE(左の列、グリーンの封筒)
となっている。
拡大画像はこちらをご覧ください。
【4月9日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第6回である。
これもハインツ・ピーターの紹介のDMである。基本的には「ミステリーゾーンに挑む」という本のセールスのDMで、これもドイツの小切手を用いたものである。構成は・・・
① APC(アドバンスト・ポスト・カード)
② ストライプOE(有効期限強調)
③ ゴールデン・グランプリ・フライヤー
④ 小切手タイプのプロモーションレターつき申込書
⑤ プロダクト・レター
⑥ ブローシャー
⑦ プレミアム・フライヤー
⑧ お楽しみスピードくじ
⑨ 諾、否BRE
とフルドレスのDMである。
以下に説明する以外は前回と同様であると考えてもらいたい。
まず①は画面一番左の列上にある縦型のOEを見てもらいたい。
普通は横型だがこれは縦型である。これは中の④小切手タイプのプロモーションレター付き申込書が縦型だからである。有効期限強調コピーは黒地に黄文字で目立つように書いている。赤いステッカーには100万円が当たる大懸賞のことを書いている。いずれも「お早目の」開封を促している。
そのすぐ下に④6枚綴りの青いカードがある。
「賞金総額500万円レインボー大賞」の抽選参加証書カード3枚とそれに付随するレターである。これには宛名はもちろんのこと、住所、氏名、近くの銀行、6つの抽選番号、締切日、賞金最高金額、過去当選者数など、ありとあらゆるものがコンピュータ打ち出ししてある。
付随するレターにももちろんコンピュータ打ち出してある。これはパーソナライズという手法で顧客の住所、氏名、近くの銀行、その他を打ち出すことにより、親近感を引き出すとともにオファーの訴求効果をより高めることを狙ったものであった。
この訴求効果は、世界各国から送られてくるデータによって裏付けられていた。現在でこそ電子メールで送られてくるものは、たいていその様な仕組みがとられているようではあるが、当時としてはリーダーズダイジェスト以外にそのようなことをする通販会社は存在しなかったのではあるまいか。まさに画期的なことであった。
当時、リーダーズダイジェスト本社はコンピュータ投資に力を入れていた。システム部ができたのもこの頃だったと記憶している。システム部と連携し打ち出す内容や印刷物について綿密な打ち合わせをしたものである。
③のゴールデン・グランプリ・フライヤーはOEから2つ右にある。
抽選参加証書に似せて作られている。色は一番上の列左2枚の①APCに合わせている。ゴールデン・グランプリ、つまりオープン懸賞の訴求である。APCでオープン懸賞の紹介をしているので、同じ色、グリーンに合わせたのである。
拡大画像はこちらをご覧ください。
【4月2日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第5回である。
1984年ころ日本リーダーズダイジェスト社のマーケティイングを強化するために一人の外国人が本社から派遣されて、1年半ほど常駐していた時期があった。
その人は、ハインツ・ピーター・コーネリーというドイツ人で、第2次世界大戦が終わったのは小学生の頃で、日本とともに戦争に負けたのだから敗戦国仲間だというようなことを言って、妙に親近感が沸いたのを覚えている。ビールの好きな人で家の冷蔵庫には満杯にビールが詰まっていた。寒さに強く冬でもクーラーを使用し、吐く息が白い中を半袖で仕事をしていた。
一方、コピーライター出身で語学堪能、英語、ドイツ語はもちろんスペイン語、フィンランド語、スエーデン語、フランス語と6カ国語が読み書きできた。だからほぼ全世界のDMを理解し英語に翻訳することができた。
彼によって紹介されたのが今回案内するDMである。
「ミステリーゾーンに挑む」という本のセールスのDMでヨーロッパにおいて成功した申込書を使用している。構成は・・・
① APC(アドバンスト・ポスト・カード)
② ナンバード・OE
③ ゴールデン・ブックカバー
④ 小切手タイプのプロモーションレターつき申込書
⑤ プロダクト・レター
⑥ ブローシャー
⑦ プレミアム・フライヤー
⑧ お楽しみスピードくじ
⑨ 諾、否BRE
とフルドレスのDMである。
まず①は、画面一番上にあるグリーンの線が入ったハガキである。お客の氏名が打ち出され○月○日ころ懸賞「ゴールデン・グランプリ」の案内が届くのでぜひ、注目してもらいたい旨の内容が書かれている。
本体のDMが届く1週間前に発送される。
②は一番左上である。番号が印刷されているが、人は意味不明の番号に興味をもつものだというハインツ・ピーターの意見で作成したものである。実際、ヨーロッパで成功したOEであるという。
③はオープン懸賞の案内が中面に印刷されている。「ゴールデン・グランプリ・フライヤー」といわれている。このゴールドのキラキラ光る窓付きのフライヤーがロングヒットを続けている。これを使用するとレスポンスが上がることがわかっている。
④は左下から2列目の四枚綴りの飾り罫のついたカードである。左側にはパーソナライズされた(氏名がコンピュータ打ち出しされた) プロモーション・レターがついている。これは多分、成功したドイツの小切手を翻訳して日本風にアレンジしたものである。「賞金総額300万円コンピュータ・ラッキー賞 抽選券」「コンピュータ・ラッキー賞 賞金券」「高確率スーパーボーナス賞 抽選券」「特典保証券」の4枚つづりとなっている。左側のレターには、剥がすことのできるゴールドシールが貼付されていて、レターをよく読むとゴールドシールを「高確率スーパーボーナス賞 抽選券」に貼って4枚を至急返送するように書いてある。この返送が本の申込を兼ねているのである。
⑤は中央付近にある白地に「ミステリーゾーンに挑む」と書かれたレターである。この本の魅力的なポイントの数々、お得な直販システム、支払い方法、ゴールデン・グランプリの案内などが書かれている。
⑥は一番右手の大きいA3サイズの案内。商品案内なので写真入りで解説が載っている。
⑦はブローシャーのとなりにある。ここではこの本を買えば「ESPカード」贈呈となっている。いかに本にそったプレミアムを発見できるかが重要になる。
⑧はレターとプレミアム・フライヤーの丁度真上にある。「お楽しみスピードくじ」という。要はべたつき景品が当たることで、見せ方としてこのほか色々な方法があるが、後日まとめて説明する。
⑨ は諾・否封筒で、返信用封筒を2点付けてあるものだ。こうすることである種の心理的な安心感を与えることができる。詳細は前回説明した通りである。
このように、APC、ナンバード・OE、小切手タイプのプロモーションレターつき申込書、その他合計9点の印刷物がそれぞれの役割を強力に発揮して、結果的に高レスポンスを生み出すのである。それぞれが世界で成功した形式を利用しているのであり、これができることがリーダーズダイジェストの強みであったと思う。
拡大画像はこちらをご覧ください。
【3月23日更新】
リーダーズダイジェストのDM紹介第4回である。
今回はDM印刷物のそれぞれの機能についてお話ししよう。
まず全体の骨子となるプロモーションについて学ぼう。プロモーションには懸賞がある。懸賞にはオープン懸賞とクローズド懸賞がある。オープン懸賞とは「当たると誰でも100万円」など取引とは無関係に実施するもの。それに対してクローズド懸賞は取引に付随するものとなっている。総額は売上の2%とされている。「○○を買って○○を当てよう」という懸賞がこれにあたる。懸賞はダイレクトメールとは切っても切れない関係にあるのでぜひよく知ってほしい。
それではダイレクトメールの中身について解説しよう。
●外封筒
ふつう封筒という。特に外封筒(Outer Envelope)というのは、内封筒=BRE(Business Return Envelope)と区別するために外封筒とよばれるようになったと思われる。外封筒は開封促進が主な目的である。なかの印刷物を覆っていて、届いて一番最初に目にするものだから非常に重要である。事務的なもの、公共機関から届けられたもの、重要なもの、緊急性のあるもの、意外性のあるものなどがポイントとなろう。これによってDMの運命が決まるといっても過言ではない。
●申込書
申込書は抽選参加証書などを兼ねることが多い。単に申込みだけでなく、インセンティブやフレンチグリッドなど懸賞などの見せ方の工夫をすることによって、申込みに面白さを加え、申込みやすくする目的がある。抽選参加証書は申込みに重要な要素のひとつであろう。
●Letter
Letterにはプロモーションレターとプロダクトレターがある。
プロモーションレターはおもに抽選参加証書やプレミアムなどの訴求を目的とする。クローズド懸賞について説明し、興味をいだかせ商品の申込みに強く結びつける。
プロダクトレターは商品訴求のレターである。これはDMの中でも最重要に位置づけられる。これがうまく書けていないとDMは間違いなく失敗する。商品をいかにドラマタイズして書けるかにかかっている。長くなるのでノウハウは別の機会にお話しよう。
●ブローシャー
パンフレットやカタログ、チラシなどとも呼ばれるがDM用語としてブローシャーと覚えよう。商品訴求中心に使用例や使用者の言葉、推薦者の言葉、申込方法などまで具体的に分かりやすく書かれている。
プロモーションレターやプロダクトレターと重複することもあるだろうが、かまわず書く。繰り返し書くことで顧客の心にも入っていく。写真やイラストを使って徹底的に分かりやすく表現する。DMは小学生が見ても分かりやすく、表現しろといわれる。それだけ説明し尽くしたかということになる。
●プレミアム・フライヤー
プレミアム・フライヤーはべたつき景品の訴求である。べたつき景品とは取引額が1000円以下なら200円、取引額1000円以上なら取引額の10分の2と決まっている。これも商品訴求とうまくからめて訴求していく。これにもいかにみせていくか、ドラマタイズしていくかにかかっている。いろいろな方法があるが説明は別の機会としよう。
●オープン懸賞フライヤー
商品の購買と結びつかない懸賞をいかに魅力的にみせるかが重要である。当選額が高額なだけに面白く表現できるだろう。当選者の言葉などを掲載し、実際に当たると思わせることが重要。ただあまりあおり過ぎる表現は慎もう。
●BRE(返信用封筒)
ただ単に返信用封筒というだけに留まらない。これも申込書と関連する重要なツールである。すなわち申込みの最終確認である。記入はすべて済んでいるか、記入もれはないか、印鑑は押されているか、商品名は間違いないか、個数は書いたか、抽選参加証書のチェックボックスに○印はつけたかなどなどしつこいくらい丁寧に書いておく。まだ迷っている客の背中を押し、申込みに気持ちを向けさせる意味合いもある。
プロモーションによっては諾否の封筒が2点つくこともあって、結果的にこの方がレスポンスが良くなるといわれている。何故かというと否の封筒が返送されてきたなら、これは単なる否ではなくて、顧客が潜在的に商品に興味を持っている証拠なのである。次には買うかもしれませんよ、ということを暗示しているので顧客をつなぎとめる丁寧な対応が必要となる。
DMは誰にでも送られるというものではない。決まったリストがあってそれに向けて送られるのである。1000万部、100万部の中から厳選し、そのターゲットに合った商品であり、クリエイティブを展開する。だからそのリストにふさわしい発送日が決められるのである。こうして満を持してダイレクトメールは発送されるのである。
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