【6月1日更新】
成熟社会、不況で物が売れない。それを克服する販売活動の一つに、ギフト需要の開拓がある。業務用の中元や歳暮が減少する中にあって、堅調なのは個人ギフトだ。両親や知人、自分などにプレゼントするパーソナルギフト需要が伸びている。「物」を贈るというより、「自分の気持ち」を贈るニーズが高まり、販売商品の単価の減少をギフトする人の増加でカバーしている。そこで、今、ギフト市場で起きていることなどから、これからのギフト需要の開拓のポイントを分析する。
■母の日プレゼントは、単価は下がるが贈り物をする人は昨年より増加
今年の母の日のプレゼントは「財布のひもは固いけれど、感謝の気持ちは伝えたい」と単価の下落があるものの、贈り物をする人の数は増えたようだ。ある花屋さんは、平均購入金額は3,000円程度で、昨年より500円程度低下したものの、贈る人は増えたという。一方で、プレゼントする花に心を込めたメッセージカードを書く人が増え、声を録音できるメッセージカードも販売された。まさに、「贈る物から、贈る気持ち」を大切にしたい人が増えていることを示している。
■お中元もパーソナルギフトが増えている
いよいよ、お中元シーズンに入った。業務用のお中元の低下に対して、家族、趣味仲間、友人、さらに自分へのご褒美まで含め、顔が見える相手に贈る「パーソナルギフト」が伸びている。百貨店では、高品質で高価格の商品を充実させ、対応している。商品の傾向としては、エコ、フルーツ、デザートなどだ。例えば、有機農法でつくったパイナップルのジュースや、農薬を減らして栽培した野菜の冷製スープなどや、産地や素材へのこだわりもある。販売方法も、売り場での販売だけでなく、インターネットを活用の販売も増加している。
■「ことギフト」という新ジャンルも増加。プレゼントの幅が広がる
飽和社会での商品を使ったギフトがマンネリ化傾向にあり、お客様への感動が弱いということで、新ジャンルとして体験型ギフトである「ことギフト」が増えつつある。例えば、「クルージング体験」や好きな場所・好きな時間にプロの指導が受けられる「個人トレーニング」、温泉が選べる「全国銘湯ギフト」などがある。「ものギフト」から「ことギフト」への広がりは、ギフトする商品がこれまでの物から、サービスへと広がり、ギフト商品の幅を広げることに繋がっている。
■形式的なギフトから、本物のプレゼントへの変化の兆し。新たな記念日創造による市場開拓も可能
不況の影響でギフト市場は、これまでのようなお中元やお歳暮などの形式的なギフトが減少し、気持ちを込めた本物のプレゼントへの変化の兆しがある。従来の贈答シーズンでのプレゼントだけでなく、新たな記念日創造によるプレゼント市場の開拓も可能となる。例えば、「長寿の祝い」をテーマとした記念日では、昔は60歳の還暦に「赤いちゃんちゃんこ」をプレゼントする習慣があったが、今は寿命が延びたことや、「赤いちゃんちゃんこ」が使われなくなったことから、活用されていない。それに代わる長寿の祝いに対する提案が可能となる。長寿の祝いだけではない。生活者のライフスタイルにあった祝いを活用したギフト市場の創造が可能になる。そのプレゼントも単なる「商品」という「もの」発想ではなく、「生活者」にとって感動を与える「こと」発想への転換が新しい需要創造に結び付くと言える。